【弘前大共同研究】SPシャント手術の血流制御法におけるCFD(数値流体力学)解析を2024年度日本胸部外科学会で発表

2024年11月1日〜4日に石川県で開催された2024年度日本胸部外科学会に、株式会社MedicalCirculator(代表取締役:高山能成)と弘前大学の共同研究を発表しました。

2024年度日本胸部外科学会にて、SPシャント手術での血流制御を数値流体力学(computational fluid dynamics; CFD)解析し、安全な血流制御戦略を検討した、弘前大学との共同研究(共同研究者:小渡亮介)を発表しました。(演者:佐々木花恵 先生)

研究概要

systemic-to-pulmonary artery shunt(SPシャント)は、チアノーゼ性心疾患患者に対する姑息手術です。

SPシャント手術では血流調節目的にグラフトに部分クリッピングをかけることがありますが、クリップ後のグラフト内血栓形成やそれに伴うシャント閉塞リスクも有する手技です。

本研究の意義としては、グラフト内血栓形成の一要因である血流停滞に着目し、グラフト内血栓形成を防止することでこれを原因とした死亡率を下げることです。

クリップ周囲における血行動態を明らかにし、血栓形成を防止できるクリップ後の形状を探査することで、結果として小児先天性疾患の患者のQOLを改善することが可能になります。

今回はSPシャントにおけるグラフト部分クリッピングなどの血流制御法をCFD解析し、その結果を基により安全なシャント血流制御戦略を検討しました。

部分クリッピングにおいては添付の動画の通りクリッピング部をまたいだ流路が形成され、血流停滞のある領域を確認することができました。また、血流停滞を著しく減少させることができるグラフト形状も探査することができました。

関連動画をご覧いただけます。

シャントクリッピング後の症例に対しては、ワーファリンなどの抗凝固療法を検討する必要があると考えられますが、血流停滞が起こりにくいクリッピング法の検討やそれ以外の手法で血流停滞が起こらないシャント血流制御法の確立を検討していくことで、小児先天性疾患の患者の術後QOLを改善することを今後も目指していきます。

共同研究者(小渡亮介医師)のコメント

2年前の旭川の心臓血管外科学会で高山さんと話をして、「教科書に載るような仕事だと思います」と言って始めた研究でした。

発表後のディスカッションで座長の坂本喜三郎先生より、「この研究はこの分野の考え方を根本的に変える研究かもしれません」との言葉を頂けて本当に嬉しかったです。

海外の症例数には勝てませんが、統計学より上位とされることも多い数学・物理学も駆使し、今後も医学のためになる報告をしていければと思います。

お問い合わせ

当研究に関心をお持ちいただけましたらぜひ下記の問い合わせ先にご連絡ください。

お問い合わせ先:
担当 香西杏子(出版メディア事業部)
メール kozai@medicalcirculator.com

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